新材料：高スペクトル変色生体認証は広い応用見通しがある

中国科学技術大学によると、同校工学科学学院の研究チームは生体模倣思想に基づいて新型の高スペクトル変色材料を開発した。この材料は落葉植生の緑色と黄色の間の変色現象を模倣することができ、そして2つの色状態の下で植物の葉の太陽スペクトル反射特徴を再現することができる。関連研究成果は先日、材料分野の定期刊行物「ミクロ」にオンラインで発表された。

自然界における植物葉の色変化の特徴は葉肉細胞内の色素含有量の変化と関係がある。細胞内の葉緑素含有量が高い場合、他の色の色素を隠し、植物の葉を緑色にする。葉緑素が外界環境の変化によって分解されると、細胞内のカロチンなどの他の色素の色が現れ、植物の葉が黄色や赤色になる。植物に対する高スペクトル材料は一貫して工学分野の重点と難点であり、一方で植物葉は独特の太陽スペクトル反射特徴を持ち、材料は全体の太陽スペクトル内で葉スペクトル特徴と一致する必要がある、一方、植物の葉の色やスペクトルの特徴は変化し、材料は変色能力を備える必要がある。

研究チームは植物葉の変色メカニズムからインスピレーションを得て、緑色動的顔料と黄色静的顔料を複合した色変化モデルを提案した。この生体模倣思想に基づいて、研究チームは熱変色マイクロカプセル顔料とチタンクロムイエロー顔料を複合し、溶液鋳造膜法を用いてポリビニルアルコールを基材とする変色生体模倣材料を製造した。この生体模倣材料の色変化は、外部温度刺激を加えることによって切り替えられ、2つの色状態は一般的な屋外環境で安定して存在することができる双安定特性を有する。

変色現象を実現する上で、研究チームはさらに粒子系放射線輸送モデル設計材料中の顔料粒子の配合比を発展させることによって、葉肉細胞中の細胞スタック構造の入射放射線に対する散乱過程を模倣させ、それによって真実の葉と一致する近赤外高反射特徴を形成した、親水性特性を有する基材を用いて空気中の水分を生体材料に吸収させ、植物葉の水吸収谷特性をシミュレーションした。また、生体模倣材料は環境中の湿度変動に伴って水分吸着と脱着を行うことができ、植物葉の水分輸送による温度調節を模倣し、天然葉の赤外線特徴と一致する。

研究者によると、この研究は落葉植生に対する高スペクトル変色生体模倣を実現し、工学分野で広い応用の将来性を持っている。